タケノコの話

先日「わかめの話」を書きましたので、今回はタケノコの話にします。

タケノコは竹かんむりに”旬”の文字 「筍」。
旬という漢字は元々10日間を表します(現在でも上旬、中旬などと使いますね)。
タケノコは生長が早いので10日ほどで竹になり食べられなくなってしまう という説が筍という字の由来としては一般的なようです。

当店にも「桜鯛とたけのこの鯛めしセット」なる春の季節商品がありますが、今月末か来月頭ぐらいまでで販売終了とする予定です。
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では、いざ本題へ

一口に筍といっても70種類ぐらいある

実は数多くの種類があるタケノコですが、その内食べられるのは10種類前後だったと思います。
この辺りでよく見かけるのは孟宗竹(もうそうちく)・淡竹(はちく)・真竹(またけ)くらいでしょうか。

筍 孟宗竹
エグみが少なく上品で柔らかく色白ということで、「たけのこ」と言えば一般的に孟宗竹をさすことが多いです。
当店で使用しているのも孟宗竹です。

淡竹や真竹も勿論美味しいのですが、孟宗竹の旬が3〜4月であるのに対して、5〜6.7月ですので、「春」のイメージにそぐわないのかも知れません。

『水戸黄門』で黄門様が持っている杖。
あれはナントカ言う筍を乾燥させて作ったものなのだそうですが、その筍が実に美味で他とは比べ物にならないそうです。
奄美の人が教えてくれたので南方の品種かなと思うのですが、その教えてくれた人自体がうろ覚えだったので それ以上のことが分かりません。どなたかご存知の方がいらっしゃったらお教えください。

とりあえず、ここからは孟宗竹に話をしぼって進めますが、淡竹や真竹もほとんど同じです。

筍の旨味はアミノ酸から

タケノコにはチロシン、日本人が大好きな”グルタミン酸”、疲労回復物質として最近有名になってきた”アスパラギン酸”など、アミノ酸が豊富に含まれています
炒めものに筍を入れるだけでぐっと旨味が増すのは、この豊富なアミノ酸ゆえんです。

チロシンとは馴染みの無い名前ですが、筍をゆがいたときに残る白い粒のような粉のようなものがチロシンです。
チロシンは、「やる気物質」と呼ばれるドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の元となります。

冬の寒さが終わり自律神経が緩みがちとなる春は、『春眠暁を覚えず。春はやる気が出ないな〜』『五月病でしんどいなあ』などと言ってしまいがちな季節ですが、そんな時期には持ってこいです。
自然とはうまいこと出来ているものです。

チロシンはブドウ糖と相性が良いので、たけのこ御飯は最高の組み合わせです。
筍御飯を作るときは、短冊切りにしたタケノコと、同じ長さに切り揃えた薄揚げで炊いてやると美味しく炊き上がります。お試しあれ。

筍はとにかく早くゆがきましょう

旨味を支えているチロシンですが、そのまま放置しておくと酵素の働きによってホモゲンチジン酸という 名前からしてエグそうな物質に変質してしまい、旨味とは真逆、エグみの原因物質になってしまいます。

ですので、筍はできるだけ早く湯がいてしまうことが大切です。
加熱すれば酵素は働かなくなるので、湯がいてしまえば大丈夫。筍を買ってきたらとりあえずすぐに湯がきましょう。
(参考 「筍の選び方・ゆがき方」

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豊富な食物繊維

筍で特筆すべきは豊富な不溶性食物繊維

聞きなれない言葉ですが、繊維質で消化されない、いわゆる「食物繊維」です。
昔は食物繊維=不溶性食物繊維だったのですが、いつからか、『小腸までは溶けないが大腸で分解・吸収されるもの』も食物繊維に含むことになり、不溶性、水溶性と食物繊維を分けることになりました。

食物繊維と言えばゴボウや蓮根が挙げられますが、100gで見たとき、ゴボウには3.4蓮根には1.8g タケノコには2.4gの食物繊維が含まれています。 結構な量が含まれているのだとお分かりいただけるのではないでしょうか。

便秘だけではない、食物繊維の効果

腸の掃除屋として有名な食物繊維ですが、排出するのは便だけではありません。
主な食物繊維の効果としては、コレステロール値の排出・血糖値上昇の抑制・腸内環境が整うことにより大腸がんリスクの軽減、と非常に有能な働きをします。

腸の乱れはそのまま肌や髪質の荒れ、果ては人相や性格にまで影響を及ぼします。男女を問わず、ダイエットしているか否かを問わず、日頃自分が食べているものを見直してみることは非常に大切です。

余談:便秘と食物繊維について

「便秘にはゴボウや蓮根(=不溶性食物繊維)が良い」とよく言われますが、これは必ずしも正しいとは言えません。
長年便秘薬に頼りすぎているなど腸の機能そのものが相当弱くなってしまっている場合、不溶性食物繊維は負担になり過ぎてしまうからです。
そういった場合は、海草などに代表される水溶性食物繊維の方がおすすめです。

季節のもの・旬のもの を食べることには意味がある

春の山菜は苦く、その苦味は春先に緩みがちな自律神経を引き締めてくれます。
タケノコのチロシンは、怠けがちな気分を一新し、精力的に動く源になってくれます。
筍や海草に含まれる食物繊維は、冬に体に蓄えられた余分な脂肪を排出する手助けとなってくれます。

あちこちで何回も書いていることですが、「旬のもの」には、その季節に必要とされる栄養や効果が含まれています。
人も自然の一部ですから自然の循環の輪の中にいる為にも、きちんと季節のものを口にしたいものです。

きれいにまとまったところで、以下は「おまけ・筍の選び方・ゆがき方」です。ご参考までに。
ではでは、また。

おまけ 筍の選び方 ゆがき方

【買うとき】たけのこの選び方

1・見る ・穂先が黄色に近いもの

とにかく筍は生長が早いのであっという間に竹に育ってしまう というのは有名な話です。穂先が緑になってきている筍は、そろそろ竹になろうとしている段階 = アクもえぐみもきついです。
出来るだけ穂先が黄色っぽい筍を選んだ方が、柔らかくエグみもましです。

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2・触る ・皮に産毛がびっしりと生えているもの

鮮度の関係だと思いますが、細かい産毛がびっしりと生えているものの方が良いです。スーパーなどで皮を剥いて売っているものは知りません。

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3・持つ ・重たいもの

見た目の割に重たくないタケノコは、水分が抜けて鮮度が落ちてしまっていることを意味します。持ってちゃんと重みのあるものを選びましょう。

【下準備】たけのこの湯がき方

大前提として土は洗い流します。

1・穂先を切り落とす

筍は大体反り返っています。この反っている角度と平行に穂先の方を切り落とします。心配しなくても先の方は皮ばかりなので、適当に切ってくだされば結構です。

切り口を見てもらえば分かるのですが、陽にあたっている方が早く育つので北方向に反り返っているわけです。

2・真ん中に切れ目を入れる

年輪の広い方の真ん中に真ん中ぐらいまで切れ目を入れます。

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3・ぬか炊きする

米ぬかと鷹の爪(唐辛子)の輪切りで湯がくのが基本ですが、米ぬかが無ければ重曹でも構いません。

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要は米ぬかや重曹の持つアルカリ成分でエグみの原因となるシュウ酸やホモゲンチジン酸を除去しようということです。

何故鷹の爪を入れるのかは私にもよく分かりません。入れようと入れまいと味に影響はないので保存的な理由ではないかと思います。

4・そのまま冷ます

時期・産地・鍋の大きさなどにもよりますが長くても1時間も湯がいてやれば十分でしょう。タケノコの根元の方に竹串がすっと入れば終了です。
湯がき終わってすぐに流水で流したりすると、タケノコの身が締まり割れてしまうことがあるので、鍋のまましばらく放置します。
ある程度熱がとれたら米ぬかを洗い流し、皮からはずして下準備終了です。

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根元のまわりをグルッと剥いてやると尚良しです。

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すぐに調理に使わないときは、水に浸しておけば保存できます。毎日水を替えてやれば5〜7日くらいはもつでしょう。

鯛とタケノコの鯛めしセット

【春限定】鯛とたけのこの鯛めしセット